2013年のアイドル市場の動向を年初予測と比較して振り返る | 外資系戦略コンサルタントの視点から見たアイドル・ビジネス

2013/12/31

2013年のアイドル市場の動向を年初予測と比較して振り返る



みなさん こんにちはCuteStrategyです。

今年も早いもので2013年が終わろうとしています。

今回は、2013年のアイドル市場の動向について総括する意味で、
年初において私が予測・主張した内容と、その実際を検証したいと思います。

自分が予測した内容について言いっぱなしではなく、
結果から何を見落とし予測を間違えたかを知ることによって今後の予測の正確性を高める作業でもあります。

さて、2013年1月中旬におきまして、Gザテレビジョン vol25でビジネス視点でアイドル市場の2013年の動向を予測させて頂きました。

(参考)Gザテレビジョンにてインタビュー記事が掲載されました

その中で、私が予測、主張した点を要点として上げると以下となります。
(著作物であるため全文を載せることはできませんが、自分の不都合な点を隠さないために
要点の網羅性にはなるべく注意しています。詳細に検証したい方がもしいれば本書をご購入下さい。)




こちらで予測した内容としては主に2点です。
①2013年のアイドル市場の動向
②AKB48、ももクロの次のネクストブレイク・アイドルはどこか

以下の内容は全て「出典:グラビアザテレビジョンvol.25(KADOKAWA刊)

◎アイドル市場の動向

************予測1*************
【議題】
アベノミクスによって経済は景気回復に向かっているが、2013年アイドル市場は衰退していくのか

【前提】
経済が不景気であるほどアイドル市場は成長する
(参考)アイドルの市場規模について② ~市場推移とGDPの関係性および2013年の予測~

【予測】
衰退しないが成長率は10%程度(11年→12年は13%)に鈍化する。衰退しない理由は2つ
1.アイドルファン層の中心である若年層の給与水準が上昇するのは2014年以降
2.現在アイドル市場が成長しているのは供給サイドのフリー経済に対応するためと
メディア側の構造変化により単価の安いアイドルが求められているから
鈍化の理由は現在メイン・プレイヤーのAKB48ブームとももクロブームが一段落するため

【結果・検証】
こちらについては、2013年の市場について数値で示すことができないため、完全な検証は困難ですが、
48グループ及びももクロのGoogleの検索数推移見れば分かる通り、成長は一段落し、
この2つのメインプレイヤーを超えるアイドルが出現していないことから、
成長は鈍化していると思われます。


しかし、2つのメイン・プレイヤーのブームは一段落しましたが、
第2集団にいる私立恵比寿中学がさいたまスーパーアリーナでの実施、
℃-uteやBerryz工房、モーニング娘。、SUPER☆GiRLSなどが武道館で単独ライブ実施しており、
2014年にはBABYMETALや9nineも実施予定であることから、
メインプレイヤーからその他のグループに人気が分散してきている年だったというのが今年の現象はないでしょうか。


*************予測2***************
【議題】市場の競争はどのようになるか

【予測】
アイドル市場の市場規模拡大のペースに対して新規アイドルの誕生のペースが早く過当競争のため淘汰が始まってくる

【結果・検証】
今年の夏の時点で現在1,000グループのアイドルが存在すると言われ、
700億円規模の市場と48Gやスターダスト、ハロプロ、avexによるアイドルによる寡占状態が強いため、無名のアイドルグループにとって財務状況は厳しいと考えられます。

その中でも吉本発のYGA、テクプリ、恵比寿マスカッツ、平成のキャンディーズとしてデビューしたC@n-dolsなどある程度の知名度を有したグループが解散しました。
また、今年に人知れず実質活動休止状態になったアイドルは相当数存在すると言われていることから、淘汰が始まっていると判断しても良いと思います。


**************予測3***************
【議題】市場を成長させるために必要なアクションは

【予測】
・まだ伸びる余地があるのは、海外及び現在獲得していない新しいターゲット層
・海外に関してはJKT48が進出したのは理にかなっている。
・現在のターゲット層以外の層は、女性、中高年男性向けのアイドル
・(主張)最大のアイドルフェスであるTIF(Tokyo Idol Festival)の存在を更に拡大して48グループ、スターダストグループ等全てのメジャーアイドルの出演をしアイドル存在感を対外的にアピールする必要がある

【結果・検証】
海外については今年多くのアイドルがフランスや台湾などでライブを実施しており、「AKB48は果たして衰退期なのか」において言及したJKT48の躍進から予測は当たったとして良いと思います。

新規ターゲットについてはE-girlsが特に女子中高生ファンから人気を得ており、
48グループが田原総一朗さんや小林よしのりさんなどの中高年男性を広告塔として利用して中高年男性のファンを獲得しようとしたことから大きくは外れていないと思います。
しかし、それ以上に現在のアイドルシーンで活発なのがロックフェスやDJイベントなど音楽的にセグメントの異なったターゲット層に対して対外的なイベントに参加し、こちらの層を獲得していこうとしていたため、音楽的なセグメントについて言及・想定していなかったのは×かなと思います。

またTIFに関しては複数の情報ソースから面白い話を聞いているので、来年のTIFについて期待しています。

**************予測4***************
【議題】その他のアイドル市場のトピックで大きな変化

【予測】
地方経済に立脚した、地方活性化の象徴としてのローカルアイドル(以下ロコドル)の活躍
中長期的(2013年以降~)ロコドル各グループの規模は小さくても全体では大きな市場規模になる

【結果・検証】
こちらは地方活性化の手段としてロコドルの必要性が高まり、ロコドルブームが起きるという予想でした。
今年は地方経済活性化のマスコットとしてゆるキャラ人気が高まり、同時にロコドルという存在の認知度も高まりました。
年初予測したのは後1年以上は掛かる中長期的な話として紹介しており、
当時はNHKの連ドラ「あまちゃん」の爆発的な人気や1000年に一度のアイドルとして人気になったRev.from DVLの橋本環奈ちゃんの存在など想定することはできず、こんなにも早く認知度が高まるとは考えてもいませんでした。


◎ネクストブレイク・アイドル

**************予測5******************
【議題】2013年ネクストブレイク・アイドルに必要な条件は

【前提】
AKB48は接触中心の薄利多売型、ももクロはAKB48のアンチテーゼ的存在でライブ中心の高収益型

【予測】
・AKB48、ももクロとのイメージ・コンセプトの差別化
・ももクロ型の売り方で、ライブによる収益が求められるためパフォーマンス力が求められる
・アイドルのファミリーブランドの構築
(ファミリー内で複数グループを持っているとこによってファンの囲い込み)
・事務所の運営能力・制作能力

以上のブレイクに必要な条件と上述の2013年の予測を基にしてフィルタリングし、
・一般層を含めた大きなブレイクを期待
・順調な成長を期待
・海外での活躍を期待
・ロコドルから全国区人気へ広がる期待
の4点でカテゴライズし、以下の表を作成しました。

評価に×や、事務所の運営能力・制作能力の評価が含まれていない事情は御察し下さい。








【結果・検証】
・一般層を含めた大きなブレイクを期待

こちらに関しては、ももクロの次に大きく一般層のファンを獲得して人気を得るアイドルはどこかという観点で書いたのですが、一般層も含めてももクロレベルの寸前までブレイクしたアイドルは存在しないため外れました。

avexの東京女子流は2012年年末に武道館でライブを開催し、2013年に大きくプロモーションを行っていく可能性が高いためリストに上げさせていただきましたが、プロジェクトリーダーの佐竹義康さんは彼女達をもっと中長期的な視点で見ているようで、今年はおとなしい活動に落ち着きました。

ハロプロの℃-uteに関してはフランスでの単独ライブや9月10日℃-uteの日における武道館チケットが即日完売したため、2daysの実施になるなど大きな躍進をしました。しかしコメントに書かれている内容の通り武道館後の新たな目標の設定やハロプロ内での選択と集中ができず次の一手に期待します。


・順調な成長を期待

こちらに関しては、アイドルのファミリーブランドの構築を行っているところでブレイクしそうなアイドルをリストアップさせて頂きました。
現在このようなブランド構築を行っているところには、48グループや、ももクロ擁するスターダスト、モーニング娘。擁するハロプロ、SUPER☆GiRLS擁するiDOL Streetがありますが、当時ハロプロの新グループJuice=Juiceは存在しなかったため、3つのグループをリストアップしています。

乃木坂46は「AKB48は果たして衰退期なのか」で述べた通り48グループの人気二番手に位置するSKE48を追い越す勢いで成長しており予測は当たっていたと思います。

私立恵比寿中学もコメントにある通り、姉分であるももクロ人気が一段落した夏以降にさいたまスーパーアリーナでのライブ開催など大きな躍進をしています。コメント欄にも書かせて頂きましたが、現在もアイドルの第2集団のトップを走っているのがこちらのグループであるため予測は当たったと思います。

また、Cheeky Paradeはライブパフォーマンス力に定評があり、2013年のアイドルフェスティバルであるTIFでもベストアクトとの呼び声高く人気は着実に増えており、姉分のSUPER☆GiRLSと互角の人気を得始めています。コメント欄に書かせて頂きましたが、ファミリーブランドのiDOL Streetは上の2グループの人気が十分でないまま3番目のGEMという新グループを作り、性急に拡大しすぎたためポートフォリオ・マネジメントが十分でないまま、選択と集中ができず全体的に苦戦しているのは現在も同様です。こちらに関しても予測は当たっていると思います。


・海外での活躍を期待

BABYMETALは元々海外のメタル・ファンからの人気が高く、今年は実際インドネシア1回、シンガポール2回の海外公演を実施し、また海外人気を逆輸入する形でサマーソニックやカウントダウンジャパンなどのロックフェスに出演するなど予測は当たったと思います。このグループはターゲット層は明確でメタルとアイドルとの融合だけではなく、海外が好む日本文化との融合を常に考えており、一度MVをご覧頂くと良いかと思います。



JKT48に関しては、以前の「AKB48は果たして衰退期なのか」で述べた通り、本家AKB48の検索数に迫る勢いになっており、予測はあっていたと思います。

・ロコドルから全国区人気へ広がる期待

仙台を拠点とするDorothy Little Happyは、高いパフォーマンス力と楽曲性の高さから人気がありますが、今年は残念ながら飛躍した年とは言い辛く存在感を示せませんでした。しかしレーベルがavexであり、現在もパフォーマンスも着実に成長しているため2014年に期待します。

愛媛を拠点とするひめキュンフルーツ缶は、2013年末から18都市で19公演敢行する全国ツアーを開始しており、ロックフェスのMONSTER baSH 2013に出演するなど、全国的な知名度を獲得しているため、予測はあっていたと思います。

以上で自分がピックアップしたネクストブレイクの予測は終わりですが、
紙面の関係上多くのアイドルを上げることができないため予測にも限界がありますが、
2013年に自分が紙面上に上げなかったアイドルの中で存在を示すことができたのは、

・E-girls (女子中高生を中心に人気が拡大)
・モーニング娘。 (フォーメーションダンスが話題でマスメディアに多く出演)
・Berryz工房 (武道館公演の実施)
・でんぱ組.inc (海外での人気や日本国内での人気の高まり)
・Negicco (活動10年の新潟県のロコドルで知名度が全国区に)
・BiS (既存のアイドル象を破壊しコアなファンを獲得、
       デザイナーのコシノ・ジュンコのメンバー加入や両国国技館公演で話題)
・9nine (2014年に武道館公演)
などが上がります。

特にでんぱ組.incとNegiccoに関しては年初時に人気の高まりには気付いていたのですが、
自分自身がその良さに気付くことができず(つまり人気が上昇するとは思っていなかった)、
リストに含めなかったため、これらのグループの良さを知ることで今後の予測の精度を上げたいと思います。

◎予測の評価

最後ですが、自分の予測の点数を評価すると
◎アイドル市場の動向
◎ネクスト・ブレイクアイドル
の2つの項目について前者の内容が90点(ほぼ当たっていますが、ロコドルの認知度の高まりが予測より早かった及び音楽ジャンルのセグメンテーションをあまり考えてなかったため-10点)

後者の項目については一般層を含めて大きく飛躍したアイドルが存在しなかったこと、
飛躍できなかったグループを2グループ含めたこと(7/9の正解率)、
逆にNegiccoやでんぱ組.incを外してしまったことにより70点ぐらいに採点したいと思います。

まぁ評価の付け方も甘く曖昧ですが、平均すると80点ぐらいと自分では思っていますが、
皆様如何でしょうか

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